12月 風土産業

2024年 12月

今、「風土産業」という本を読んでいます。
昭和10年頃の理科の先生の地理学の講演録です。

大地と大気の接合面が風土であり、地域の数だけ風土があります。
その地域の、気候、湿度、雨量、風向き、地下水、動物、植生、土壌、土質、その全てを観察して地域を作って行かなくてはならない、まさにLandscapeです。
土木工事も、その地域の水脈や土質を考慮して、風土に沿った道路設計が必要です。

能登で暗渠排水工事をした時に「田んぼの上側が水はけが悪いのでどうにかして欲しい」と仕事を受けた事があります。
圃場整備で農道の位置が変わり、農道に繋がる道路が整備されていて、水はけの悪い原因は明らかにその道路の下に水脈があり、そこから田んぼに湧水として入ってきているのだと思いました。
案の定、正月の能登半島地震で、その道路が田んぼの中まで滑っていました。

里山道路も沢地を埋めた所の道路が滑っています。
写真は滑った道路のガードレールだけが宙吊りに…

能登半島は世界農業遺産に選ばれた地です。
まさに風土産業の集積地だと思います。
多分、農業も外浦に面しているか、内浦に面しているかで営農方法にも違いがあるのだと思います。
人工的な復興ではなく、能登半島の土地らしい復興を願います。